天才物理学者の業績をたどる本サイトで一人目にとりあげる人物。
それは「万学の祖」としてうたわれるアリストテレス。
プラトンの弟子、マケドニアのアレキサンダー大王の家庭教師としても名を知られる彼は
多方面に渡る著述によって、中世スコラ学に影響を与え、ガリレオ以前の世界観に長く君臨した。
アリストテレスは、自然界の現象を4つの原因で説明できるとした。
■形相因:そのものの本質が何であるか
■質料因:そのものが何でできているか
■作用因:物事の運動のはじまり
■目的因:物事の運動が目指すところ、運動のおわり
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またアリストテレスは、「火」「水」「土」「空気」の四元素によって万物が成るというエンペドグレトスの四元素論を受け継いだが、
より実際の感覚というものを重視して、質料としての「基体」に「温・冷」「乾・湿」という4つの性質があたえられて元素が成り立つと考えた。
つまり、火は「温・乾」水は「冷・湿」土は「冷・乾」空気は「温・湿」という性質をもっていることとなる。
さらに、火と空気は「軽さ」水と土は「重さ」の性質をもつとした。
そして、水が温められると水蒸気、すなわち空気となるように、あらゆる物質が相互転換可能だと説いたのである。
彼の宇宙論は、世界の中心にある地球のまわりを、月や太陽その他の惑星が同心円状の階層を成しているというもので、
いってみればプトレマイオスがまとめることになる天動説の原型の一つとできる。
ユニークなのは、天上は第5の元素である「エーテル」によってつくられているとされ、
それ自体が目的である完全な円運動を行っているので、落下しないとしたことである。
アリストテレスの思想、哲学、論理はすべて「目的論」的だった。つまり、あらゆる存在、あらゆる現象には固有の目的があるとする考え方だ。
世界は「目的」にあふれかえっていたのである。
この「目的論的秩序」「目的論的世界観」は、千年以上にわたって自然哲学の主流にして根本的な考えとされていくのである。
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