アルキメデスはBC287年に生まれたとされる。
場所はイタリアのシチリア島。当時は都市国家シラクサといった。
まだ物理学の分野が哲学と分離できていない時代。理論は哲学的な言葉で語られるのが普通だった。
その中に一人例外として、正確な説明をした天才、それがアルキメデスである。
彼の有名な話は黄金の冠に関係するものだろう。シラクサ王からの依頼は、冠が銀の混ざっていない純金製かどうか確かめてくれ、というものだった。
浴場で湯につかったアルキメデスが、あふれる湯を見て解決法をおもいついたとされる。アルキメデスの原理の発見だ。
アルキメデスの原理
アルキメデスの原理とは
「水中の物体は、その物体がおしのけた水の重量だけ軽くなる」
言い方をかえれば
「流体中にある物体の受ける浮力の大きさは,
その物体がおしのけた流体の重さに等しい」
という原理だ。
ちなみに、冠の中の金、銀の比率をわりだす方法を定式にすると、
次のようになる。
冠の重さW、冠の中の金の重さ、銀の重さW1、W2
冠を沈めたとき溢れる水の体積V
冠と同じ重さの金、銀を沈めたとき溢れる水の体積V1、V2
とするとき、Vは、W1とW2が溢れさせる水の体積の和と考えられるから
V1W1/W+V2W2/W=V が成り立つ
この式を解くと
W1(V−V1)=W2(V−V2) となるので
W1:W2=(V−V1):(V−V2)
が成り立ち、金と銀の重さの比を知ることができる。
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この浮力の原理は、人類がはじめて知った科学法則で、17世紀にケプラーの法則が発見されるまで唯一の科学法則であったということだから、
アルキメデスの天才がどれだけ際立ったものか知れるだろう。
アルキメデスの発見したものでもう一つ非常に有名なものが「てこの原理」だ。力点、支点、作用点といえば、
誰しも授業で習った覚えがあるから説明は不要かもしれない。
簡単にいえば、大きな重量を持ち上げるとき、てこを用いて
力点と支点の距離を長く、支点と作用点の距離を短く
とれば、少ない力で効率よく行うことができる。
この、てこの原理は、ポエニ戦争に巻き込まれたシラクサが、ローマ軍の攻撃を受けた際、威力を発揮した。
アルキメデスは、てこの原理を用いた投石機などで、シラクサの港を包囲したローマ艦船を苦しめ、
またシラクサの巨船が重量のせいで進水できないでいる際にも、てこの原理を応用し滑車とロープをつかって見事進水させた。
その時に彼が言ったとされるこれもまた有名なセリフがある。
「我に支点を与えよ。されば地球をも動かさん」
三年間の間、アルキメデスを擁するシラクサはローマ軍の攻勢に耐えていたが、ついに陥落のときがやってくる。
ローマ兵士に刺殺される直前、中庭に幾何学の図形を描いていたアルキメデスは、それを描き終わるまでの時間を命乞いしたという。
しかし兵士は待たなかった。BC212年、75歳での死だった。
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