古典電磁気学を確立させ、熱力学や統計力学など物理学の様々な分野で活躍した、ジェームズ・クラーク・マクスウェル。
彼は熱力学や期待運動論など多くの分野で業績をあげた天才だった。
なかでも、マイケル・ファラデーの電磁場理論を元に確立された「マクスウェルの方程式」は、その後の物理学に大きな影響を与えた。
マクスウェルの方程式では、電場と地場の統一(電磁場)などを数式によって証明している。
また、彼はその方程式を元に、電磁場が真空や物質中を伝播する波動(電磁波)が存在することを予言していた。
さらに、電磁波が光の速度と同等であることを証明することによって、光=電磁波という原理を証明したのである。
これが彼の最も大きな功績である。
しかし、その数式が難解だったためか、これらの素晴らしい発見・理論がそれほど注目されることはなかった。
ハインリヒ・ルドルフ・ヘルツによって電磁波の存在が証明された後、注目を集めることになる。
しかし、それはすでにマクスウェルが没した後であった。
そして、マクスウェルの方程式は、かの有名なアルベルト・アインシュタインの「特殊相対性理論」の基礎となったのである。
ところで、マクスウェルを語る上でもう一つ欠かせないのが「マクスウェルの悪魔」。熱力学における一種の思考実験である。
均一な気体に満たされた容器を用意し、その容器を穴の空いたしきりによって2つに分ける。
そして、一方に速度の速い分子、もう一方に速度の遅い分子を集めることによって、
同一の気体の中で温度が高い部分と低い部分を作り出す。これにより、熱力学第二法則「エントロピーの減少はできない」というのを否定することになったのである。
この分子のより分けをするのが「マクスウェルの悪魔」なのだ。
もしこの悪魔の動きを物理学的に立証できれば、永久機関を容易に生み出すことが可能とされている。
しかし、その動きを立証するのは難題であり、100年以上も解決されることはなかった。
1980年代になって「悪魔の動きそのものに情報処理のエネルギーが必要」であることが立証できたため、一応の解決はみている。
しかし、このマクスウェルの悪魔に関する研究が今も成されているのは事実である。
生前に多くの理論を残し、没後100年以上経った今なお、多くの科学者に影響を与え、研究を促している。
天才の考え出した理論は長く研究され、そして立証されることによって、新たな理論を生んでゆくのだ。
マクスウェルの方程式からからアインシュタインの特殊相対性理論が生まれたように、
また、彼の理論から天才が生まれるかもしれない。
|
|