「トランジスタの父」と呼ばれるウィリアム・ショックレー。 トランジスタとは現在も主力の半導体素子であり、様々な電子機器で使用されている集積回路(IC)の基礎である。 つまり、現代の電化製品の基礎を作ったと言っても過言ではない。

トランジスタが開発される前の電子回路には真空管が使用されていたが、真空管はもの自体が大きく、 また、寿命が短く不安定だった。そこで、新たに電子回路として使用できるものの開発に迫られたのだ。 真空管が活躍していた時期は、第1次世界大戦〜第2次世界大戦、そう、戦争に耐えうる電子回路を搭載した機器を、 世の中は求めていたのである。

次代の電子回路として注目されたのが半導体。そして、その研究を熱心に行なっていたのがベル研究所だった。 そこに集められた物理学者たち、ウィリアム・ショックレーとジョン・バーディーン、 ウォルター・ブラッテンが1947年12月23日、トランジスタの試作に成功したのである。 その後、半導体の研究とトランジスタの開発が認められ、1956年にショックレー、バーディーン、 ブラッテン3名に、ノーベル物理学賞が授与された。

実のところ、理論と実験において最初のトランジスタ、「点接触型トランジスタ」 を開発に導いたのはバーディーンとブラッテンであり、ショックレー自体はあまり関与していない。 それでは、彼が「トランジスタの父」と呼ばれているのはなぜだろうか? それは、彼がトランジスタ開発チームのリーダーであったことと、実用が難しかった点接触型トランジスタから、 実用可能な「複合型トランジスタ」の理論を作り上げたこと。また、初期段階で研究を行なっていた 「電界効果トランジスタの功績」などが、彼をそう呼ばせているのであろう。


ちなみに、ショックレーの功績といえば、彼が1953年にベル研究所を退所した後に作り上げた会社 「ショックレー半導体研究所」から、後に「Intel」の創設者であるロバート・ノイスらを排出している。 また、彼の研究所が建てられたのはカリフォルニア州のサンフランシスコ郊外――シリコンバレーと呼ばれる半導体産業の中心となったのである。


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